<ろ過方法>
井戸水などで古くから行われていた素朴なろ過は棕櫚、小砂利などを使う物理ろ過です。
しかし砂や砂利を使ってもそこに絶え間のない水の存在と流れがなく普段はカラカラの状態では「緩速ろ過」で想定される生物ろ過効果による細菌対策までをも望むのは無理です。
今、煮沸や薬品の使用は別としてろ過材として多く使われるのは活性炭で、DIYでろ過を考える方はほぼこれに依拠しているようです。
しかし、活性炭は量にもよりますが浄水にかなりの効果があるものの細菌の分解・除去まで行えるものではありません。それゆえ、DIY雨水利用で飲用迄を前提にする例はほとんど見受けられません。
<膜ろ過>
ここで水処理の産業界を見ると「砂ろ過で取り除けない細かい濁質は膜を使って取り除く」とされ、そう運用されているようです。結論から言って私も費用、装置、技術的困難度、特に有事における特殊状況を考えると粒状活性炭+膜ろ過が目的にかなうと考え、それによることを前提にしました。
<膜ろ過とは>膜の孔の大きさでふるい分ける「ふるい作用」によるものです。微生物を使う生物ろ過よりずっと安定し、かつ小型化ができ、この点でも有事向きでしょう。
ろ過に使う膜には精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、海水の真水化に使われる逆浸透膜(RO膜)があります。後者ほど孔が小さくなり、より微細な物質を阻害できますが圧力や電力を要するなどで使用のハードルは高くなります。
精密ろ過膜(MF膜)は圧力なしに(位置エネルギーを使用)おおむね0.1㎛以上の物質の通過を阻止できるのでウイルスは無理としても細菌は阻止されることになり、個人で用いる浄水装置として妥当と考えます。災害緊急ろ過器にも使われています。
注)
精密ろ過膜(MF膜)として多く使われているのが中空糸膜(ちゅうくうしまく)といわれるもので家庭用浄水器の多くはこれを用いていますがその歴史は新しいようです。
注)クリンスイの家庭用浄水器総合カタログに次のような記載がありました。 活性炭での浄水が一般的だった1984年、私たちは中空糸膜フィルターを採用した世界初の浄水器「クリンスイ」を発売しました。 |
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さて、市販の家庭用浄水器といっても蛇口直結型、ポット型、ビルトイン型などいろいろあり、この中でどれを使ったらよいかですが、水道水だけを前提にするのではなく雨水、井戸水、河川水など細菌の混入の恐れのある原水の浄化をも考えるので活性炭と中空糸膜双方で構成されるカートリッジを組み込んだもの、そしてろ材の量、ろ過に使う時間に余裕のとれるポット型が望ましいと考えます。
雨水利用で有名な墨田区の雨水市民の会はクリンスイの家庭用浄水器に使われる浄水カートリッジ(cpc5w-nw)を用いて家族が入った後のお風呂の水についてろ過実験を行い、その検査機関による結果を合わせて公開しています。大変有意義、有益なので閲読をお勧めします。
私は、活性炭の量を増やしたいこと、そして活性炭の有機物堆積によるつまりでろ過カートリッジ全体を頻繁に交換するのはもったいないと考え、活性炭と中空糸膜の層を分離することにしました。
注)粒状活性炭の価格はリーズナブルで1㎏単位でネット購入できます。
<問題は中空糸膜をどう調達し、どう中空糸膜と合体させるか>ですが、これについては次項で。